ペットサロン市場と業界動向
注目を集めるペット関連市場は、ペットフードやペット用品だけでも約5千億円の市場規模を誇ります。またペットサロンや医療に保険なども合わせると、その市場規模は1兆5千億円を超えます。
ペットフードとペット用品で市場全体の半分、残り半分はペットサロンに医療と保険、そして生体販売が占めます。市場規模は年々拡大しているわけですが、感染症の蔓延による在宅時間の増加に伴い、ペットを飼い始める人が増えている傾向が見られます。
伸びは犬と猫ともに顕著で、右肩上がりに拡大している状況です。当然ながらペットサロンの需要が今後も増える可能性は高く、トリミングサロンについても増えていくことになると考えられます。
トリミングサロンにおいては、毛をカットして切り揃えるだけでなく、シャンプーや爪を切るケアも提供が行われます。つまり、サロンを展開するお店自体もそうですが、業務に使用するハサミやシャンプー、爪切りといった用品の市場にも影響があることが分かります。
ペットサロンやトリミングサロンが需要の増加に伴って数が増えれば、それだけ関連する用品の需要も伸びて市場規模が拡大することになるわけです。従来、トリミングサロンといえばペットショップか動物病院に付随する、併設されているお店でした。
近年は独立したお店が増えていたり、移動してサービスを提供するお店も増えています。これはサービスを提供する形態に変化が起こり始めており、多様化が進む兆候が見られることを意味します。
価格帯も広がりを見せていますから、例えばラグジュアリーな高級感をウリにするお店が誕生したり、逆にこれまでより手の届きやすい手頃な価格帯のお店も増える可能性が高いです。今やペットは家族の一員の扱いが当たり前ですし、毛を切り揃えて美しく、綺麗に見せることが常識となりつつあります。
ペットを買う人が増えれば連動する形で関連する市場が拡大するのは必然ですし、今後は定着したペットサロンやトリミングサロンも例外ではなく、一緒に拡大していくことになるでしょう。気になるペットサロンの店舗数ですが、2015年の時点で既に全国で2万件を超えており、2万5千件に迫る勢いで増加しています。
2012年の時点と比べて約12%の増加ですから、急拡大している市場なのは明白です。そこに感染症とそれによる在宅時間の増加が拍車を掛ける形で、ペット関連市場も拡大する形となっています。実は潜在的なニーズは2010年頃に行われた市場調査によって確認されており、この時点ではまだ利用者はペットを飼育している人達の全体の10%を切っていました。
そして、これから利用したいと答えた人が多く、否定的に答えた人よりも肯定的、利用の検討に積極的な姿勢を見せる人の割合が大きかったわけです。それから10年が経過して現在に至るわけですが、世の中の状況が変わったとはいえ、傾向そのものは変わっていないといえるでしょう。
経営者向けの開業サポートやセミナー、勉強会なども積極的に開催されていたり、トラブル対応のサービス提供も増えていますから、店舗数は着実に増加していくと予想されます。